自分が初めて自作キーボードを作ったのは遡って調べてみたところ2017年の年末にLet's Splitを作って(その時のビルドログ → やぎ小屋 | Let's Split(レツプリ)を組み立てた )いて、それ以来キーボード沼に嵌まってしまい色んな既製品キーボードや自作キーボードを作っていた。
近年はあまり自作をしておらず(熱が落ち着いてよっぽどそそられないとはんだごてを持つパッションが生まれなかったり……)メインで使っていたのは NuPhy Air60 V2 をプライベートな端末や仕事端末で使っていた。
そんな自分が久しぶりに脳を貫かれる位に惹かれたキーボードが poached-eggs で、頑張ってキーケットで手に入れたので、思いの丈と実際半月くらい使っての話を書いてみる。
近年の自分のキーボードに対する志向
ここ数年はCOVID-19の影響により家で仕事をしたりなど1日の時間でキーボードを叩くときは家の決まったデスクで過ごすことが多かった。
一方直近は社会情勢としてもCOVID-19の影響が少し落ち着き、企業によってはReturn to Officeの動きを見せている(余談として、自分は今年3月に転職した会社でも5月から原則週3出社というポリシーが発表されたりしている)。
家がメインの時は持ち運びを考えなくて良かったので据え置きでEndgameなキーボードを追い求め、しばらくは Killer Whale を使っていたりした。
外出(出社、カフェなどでの作業含め)が増えたことにより家で使うキーボードと外で使うキーボードが違い、特に外出時のタイピング体験が著しく悪くなってしまっていた時期があった。
一時期は外出用として Happy Hacking Keyboard HYBRID Type-S を持ち歩いていたが、今度は携帯するには結構大きいというのと家のキーボードとはやっぱり違うので統一的な快適さは失われ、家での体験と外出先での体験に差があるのが気になっていた。
そこで昨年購入したのが NuPhy Air60 V2 で(正確には奥さんより誕生日プレゼントとして贈ってもらった)これが非常に良かった。
気に入ったポイントとしては以下
- ロープロファイルスイッチの採用
- 軽量でもあるので携帯性が良く、自宅でも出先でも同じキーボードで作業することが出来た
- 無線接続先の保存量が多い
- プライベート端末がPCやタブレットなど台数が多く、再ペアリングしなくても切り替えで賄える感動
- 安定したプロダクト品質
- 自作キーボードをずっとやっていたので組み立て不良やファームウェアの書き込み、安定性などのトラブルがつきものだったが基本的になくなった
非常に最高の体験を構築でき、家と外というハイブリッド環境でのEndgameを手に入れたかと思いきや、人間は常に理想をアップデートしてしまう人間で、主に以下の点を改善したくなった
- もっとコンパクトにしたい
- 持ち運ぶにあたってはもっと小さいと嬉しかった。ここでは家との体験に差異が生まれてしまうのは大きな差異でなければ許容できるという判断。持ち運び特化したい欲。
- 格子配列にしたい
- ここ数ヶ月でQWERTY配列から大西配列にコンバートしており、個人的な結論として大西配列は格子配列だと効果が増すだろうと考えている。
- Kailh Choc V2のキースイッチを使いたい
- NuphyのキーボードはGateron Low Profile 2.0を採用しており、この規格のスイッチがバリエーション少なく、特に検討当時は静音スイッチが満足いくものが無かった。
- 最近互換性のあるスイッチで Keychron Low Profile Silent Switch が出たので今はこれに換装して満足している
- 具体的には Kailh Choc V2 Deep Sea Silent Islet Switch を使いたかった。このレベルの静音性のあるスイッチが良かった。
- NuphyのキーボードはGateron Low Profile 2.0を採用しており、この規格のスイッチがバリエーション少なく、特に検討当時は静音スイッチが満足いくものが無かった。
そこでインターネットやDeep Researchに要件をまとめて理想のキーボードを探したところ、まだGroup Buyだが Sirius Manta というキーボードをおすすめされた。ジョイスティックがついているおもしろポイントあれど、希望を満たしていそうだったので購入。これが昨年末。その頃は1月発送予定だったため、それまでは我慢でいこうと作戦を立てた。
poached-eggs との出会い
Sirius Mantaの発送を待っていたが届かない。商品ページを見に行くと見に行くたびにEstimated Shipping Dateがどんどん後ろ倒しになっている。しびれをきらしてしまいそうな中、キーケットの数日前にカタログを見ていたときだった、「こ、これは……!」と思うキーボードが飛び込んできた。それが poached-eggs だった。
なんと言っても個人製作のレベルを凌駕した完成度の高さ、かわいさ、商品LPの完成度の高さから一発で「これが求めていたものや!」となった。
主に惹かれたポイントは以下
- かわいい
- かわいいは正義。日々使うものなので視界に入ったときにテンションが上がるプロダクトというのは大事
- 完成度の高さ
- 裏面金属プレートに始まり、ガスケットマウント、完全無線とメーカー品と言われても遜色ないレベルの完成度の高さ
- 要求を満たしていた
- 40%分割で狭ピッチ、ロープロファイルと小ささを詰め込んだキーボードになっておりコンパクト
- 格子配列
- Kailh Choc V2のキースイッチが使える
自分の今のニーズに対して言うこと無しのプロダクトだったため、「昼過ぎくらいにキーケット覗きにいこうかな〜」のテンションから「絶対一般入場最速狙って買いに行く!」と心を入れ替えキーケットに参戦することとした
キーケットで無事購入……?
当日は一般入場だったため、10時に会場に着くように移動。いざ会場に到着すると長蛇の列が外までできあがっており、最後尾に接続。このタイミングから(買えなかったらどうしよう……)とか(これ並んでる人全員 poached-eggs 買いに来た人たちなんだあああうわあん)と頭を謎に抱えていた。
実際結構前の方には並ぶことが出来ていたが、それでも前にはかなりの人数。とりあえず入場したら最短で買いに行けるように並びながら位置を確認し脳内でシミュレートを何度も行った。
いざ入場して真っ先に omuken さんのブースに向かうと予想が当たって凄い人数が集まっており、現場は軽く混乱気味。売り切れの色も一部既に発生していた。
将来的に着せ替えセットとして色替えできるように予定されているのはページを見て把握していたのでとにかく何色でもいいから買わせてくれ!と祈りながらひたすら並んでいた。(York Yellowが第一希望だったが、メインカラーだけあって早々に売り切れのシールがお品書きに貼られていた)
ついに自分の順番が近づいてきたのでお品書きに書いてある残数と自分の前にいる人数を数えてみる。あ、あれ……自分の前で丁度無くなる計算だぞ……?この時点で結構心が折れてしまっていたものの、誰かが買わない可能性などもあるなと思い、売り切れ宣言されるまでは並んでみようと決意し並び続ける。
ようやく自分の番になり声をかけてみるとやっぱり計算通り目の前で丁度最後の1台が売れてしまっていた。
「売り切れですよね……?」とダメ元でお声がけしてみると「実は訳あり品が1台だけあるんですが……」とのこと。
聞いてみるとキーキャップの3D印刷精度の問題で、キースイッチとの干渉がキツかったり等が発生するので予備のキースイッチを付属しているが、それが無いとのこと。もし問題発生したら自分で削るなどで対処できるならという話だった。
そんなのはお茶の子さいさいなので「問題無いので是非買わせてください!」と申し出て無事購入。しかも訳あり品は早々に売り切れていた希望の York Yellow カラー。買えた瞬間は心の中で天を仰いでしまった。死ぬほど嬉しかった。
実際使ってみて
自作キーボードあるあるのキースイッチは家に転がっている理論で帰宅後 Kailh Choc V2 Deep Sea Silent Islet Switch を取り付け使い始めた。メインユースケースとしては出先でのキーボードとして使っている。家のデスクでは NuPhy Air60 V2 をメイン使いしている形。
そもそもこのクオリティの高さで組み立て済販売なのが本当に嬉しかった。ここまで「欲しい!」と思わせてくれるキーボードは久しぶりだったので、この熱量であれば1から組み立てられただろうが、組み立て済だと帰宅してスイッチをはめたらもう使えるのが嬉しかった。加えて、自分の組み立てスキルを一切信用していないため、問題が起きにくいだろうという心理的な面も嬉しい(もちろん工場組み立てとかではないので人が組み立てる以上不具合が生まれる可能性は一定存在するが、自分の組み立てスキルが今までの経験上1番信用できないのでヨシ)。
実際使ってみて事前に思っていた良さが正しく発揮されていてネガティブな点が1つも見当たらず気持ち良く使っている。これが本当のEndgameだと思って使い続けている。
加えて、キーマップの変更も昔の自作キーボードと比べて非常に簡単だった。用意されているオリジナルのリポジトリをforkし、キーマップを書き換えてPushするだけでGitHub Actionsが走り、ファームウェアがビルドされ、Artifactsとしてそのままダウンロード出来るのは非常に簡単で体験が良かった。
自分のforkしたリポジトリはここ → yagi2/poached-eggs-shield-module 最初はkeymapファイルをエディタで書き換えていたが、途中からは Keymap Editor にリポジトリを接続してWebUIから設定。WebUIからキーマップ作るならZMKStudioなどを使ってキーマップを焼けばよいが、コードに残すことでいつでも確認ができる+等価なファームウェアをビルドできるようにするため、コードに残る形を採用。
数年前の自作キーボードだと考えられないなあ〜とか思いながら詰まることなく弄ることが出来た。
普段はMacbook Proと使うことが多く、真ん中にMagic Trackpadを挟んで使ったりKarabiner-ElementでMacbook Proのキーボードを無効化して乗せて使っている。
スマホと並べると小ささが際立つ。iPhone16 Proと比較。
公式でおすすめされていた 無印良品 | 自由に組み合わせられる収納ケース・長方形・薄型小 に入れて持ち運んでいる。このポーチもかわいい。
本当に最高のキーボード。写真多めでお送りしました。
omuken さん、最高のキーボード本当にありがとうございます。
このPostは 大西配列 の poached-eggs によって書かれました。
付録:自分の poached-eggs のキーマップ大公開
40%キーボード、かつ分割で格子配列というのが2017年に組んだLet's Split以来というのに加え、大西配列での上手いキーマップというのをコツコツ1週間ほど触りながら組んでみて今は以下の配列及びレイヤーで使っているので備忘録的に大公開。